私たち、政略結婚しています。
「ヒクッ、グスッ。ごめ…。克哉、…うぇっ」
……佐奈…?
わずかに開いたドアの隙間から、中を覗いた。
佐奈が、ベッドの横にぺたりと座り込み、俺の枕を抱いて泣いている。
…な…、何なんだよ、これは…。
俺はしばらく茫然とそんな彼女の揺れる小さな背中を見つめていた。
「…えっ…、あ…」
しばらくしてからリビングからの明かりが差し込んでいることに気がついた彼女が突如振り返った。
「…佐奈…」
俺は何が何だか分からないままに、佐奈を見たまま黙った。
「あ、あの…私、服を取りに来て、…それで」
慌てて涙を拭う佐奈に、少しずつ近づく。
「…お前…、何なんだよ」
「違うの!あのね、私、ちょっと言いすぎたかなって反省して…」