私たち、政略結婚しています。

話しているうちに、段々涙声になっていく。

みっともないと思うけれど、止まらない。

ここまできて、まだ克哉に執着している。そんな気持ちがきっと秋本くんには見えている。

「……私…早く別れて二人を元に……」

「もう、いいよ。何も言わないで。
分かったから」


秋本くんに抱きしめられて、私の涙は止めどなくさらに溢れた。

こんなに辛いなら、このまま消えてなくなってしまいたい。

克哉に抱かれる度に本当は怖かった。
失うときに、思い出すから。
もっと好きになってしまうから。


今はただ、抱きしめてくれる秋本くんの温かさにすがりたい。
凍えてしまいそうな心を、少しでも助けてほしかった。

私は秋本くんの背中に手を伸ばすとスーツの上着をギュッと握って彼にしがみついた。

そんな私を彼は黙って温め続けてくれていた。