隠し事があるんです。【短】
 両親が私の幼い頃に離婚したこと。
私が知らない男に襲われたこと。
自分の家を何度も失いかけたこと。

 これらはもう話した。


 ジンに良い印象でも悪い印象でも、とにかくインパクトを与えるために、この話をした。
一目見て、『この人だ!』って思ったから。

 本当の運命の人かどうかはわからないけど、私はそう思った。
ずっとずっと想い続けて、やっと話しかけたら君はにっこり笑ってくれた。
さっきと変わらない、あの笑顔で。

 そして、この話をしてから、ジンは私を気遣ってくれた。

 恋人になる前も、なった後も。つらい事には触れないように。
そうやって気をつけながら私と話してくれた。


 それでお互い惹かれたのか、交際開始。

 ジンは優しくてかっこよくて、私の自慢の彼氏。
そんなジンへの隠し事。


離婚のことでも、襲われたことでも、家のことでもない、別のこと。


 話そうとは何度も思った。
でもいざ話すとなると……ダメ。


嫌われそうで、ううん。嫌われるのが目に見えて、怖いんだ。
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