隠し事があるんです。【短】
「私が何を言ってもさ、ジンは私のこと好きでいてくれる?」

「何言ってんだよ。俺はどんな由新の事情も受け入れたじゃん」

「うん、そうなんだけど……」


それとこれとは話が別なんだ。


「俺のこと、信じられない?」

 悲しそうに眉を下げるジンに私は弱い。


「う、ううん!そんなことないよ!
 あ、えっと…か、家族のいない私にとって、誰よりも信用できる存在だよ!」


私が言い切ると、ジンは一瞬驚いたような顔をして、また笑った。


「そっか。家族より、か…。ははっ」

 ポリポリと頭を掻きながら顔を赤く染めるジンは新鮮だ。
ジンの笑顔も、この照れた顔も、私の前から消えてしまったら。

そう考えると、寂しくてたまらない。


そんなことはないと信じたいけど、心の底では……。
ねえ。第一、言ったところで信じてくれる?


今までの積み重ねが、全部崩れていくんだよ?
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