隠し事があるんです。【短】
「そういえばさ、アレ、見てないじゃん」

 突然、ジンがそう言った。

「え……?」

「ほら、『今日』だから見る意味があるだろ」


 今日?今日は……12月25日。
あっ、クリスマス…。


「その顔、気づいたな。駅前のクリスマスツリー、見に行こう」


 ジンは私の手を握ったまま、白い街を駆けていく。

 大学での勉強で、クリスマスなんか忘れていた。
ジンはきっと覚えていたんだよね。

 聖なるホワイト・クリスマス。

 ああ、今なら話しても許されるかな?
 言って別れることになっても、きっと後悔しない。


 寒い中での手の温もりと、ジンと見るクリスマスツリー。
 きっと誰と見るよりも綺麗に見える。


 私の秘密、打ち明けよう。
いずれ、話さなければいけないことなんだから。
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