叶わぬ恋の叶え方
偶然、コーヒーショップで
午後3時過ぎ。咲子は病院の一階にある喫茶室でコーヒーを飲んだ。
ここには外資系コーヒーショップが入っていて、飲み物の他に軽食を注文できる。
三食の病院食じゃ物足りない。特にうるさく食事を制限されているわけじゃないから、甘いものが欲しくなってコーヒーとシナボンを頼んだ。
二人掛けの席に座って、スマホをいじりながらゆっくりとコーヒーを飲む。仕事が滞りなく進んでいることを、同僚がメールで知らせてくれた。咲子の体調も気遣ってくれた。
田舎を離れた今、職場の同僚が咲子の仲間だ。こんなふうにメールを送ってくれるなんてありがたいことだ。
口元にわずかな笑みを浮かべながら、咲子は片肘をテーブルについてメールの返信をしている。
とてもリラックスする瞬間だ。
甘いシナボンにコーヒーがよく合う。