叶わぬ恋の叶え方

「じゃあ、私はこれで」

 咲子は一礼をしてその場を去ろうとした。

「そっか、ここに来れば会えるんやな」

 徳森がつぶやく。

「え?」

 咲子が振り返る。

「ううん。何でもあらへん。ほな、またな、丹羽さん」

 徳森はごまかし笑いを浮かべ、片手のひらを挙げ、自販機コーナーから立ち去った。

 今の何?と咲子は思った。

 それに彼、関西弁だった。

 咲子はふと故郷のことを思い出した。


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