叶わぬ恋の叶え方
えて来られたのは高層マンションが建ち並ぶ新興住宅地だった。車か市営地下鉄に乗らないと行けないような、首都圏ではちょっと不便な所だ。
パスタレストランは、小綺麗な町並みに似合った洋風の外観だった。入口の前では、他の若いカップルが店に通される順番を待っている。人気のある店のようだ。
五分ほど待っただけで店に通された。
咲子はサケとキャベツのクリームパスタを、徳森はナスとベーコンのトマトソースを注文した。
「徳森さんはいくつ?」
咲子がたずねる。
「俺は25やけど。丹羽さんは?」
「私は27」
「そんなに違わへんやん」
「そうね。出身は大阪?」
「お、ビンゴ! 何でわかったん? 関西人は皆、大阪人に見えんの?」
「あなたが話しているのは大阪の方の言葉よ。うちの実家の方とはちょっと違う」
「『うちの実家』て、丹羽さんも関西出身なん?」
「ええ。私は和歌山のすっごい田舎」
咲子は両親が暮らす海辺の町を思い出す。