叶わぬ恋の叶え方
一の宮は癒しの空間
また一人きりの週末を過ごすことになった。
咲子は久々に町の一の宮に参拝した。
境内にある、樹齢100年以上の大楠に両手を当て、瞳を閉じると、大樹のエネルギーをもらえるような気がする。
ここのところ徳森との一件でちょっと疲れていたから、お社のパワーに癒されたかった。
咲子の生まれ故郷はこういう自然にあふれている。
実家の近くには海があって、緑あふれる産土神社があって、日常的に自然に触れることができた。今住んでいる町とは空気の感じも違う。
都会の空気は汚れているけれど、この一の宮にだけは清らかな空気が流れている。このお社を見つけて以来、ここは咲子のお気に入りの場所だ。
耳を澄ますと、鳥のさえずりや楠の葉擦れの音が聞こえる。
気持ちがいい。
このままここで眠ってしまいそうな気分だ。
頭の中が空っぽになる。
……。
……。