叶わぬ恋の叶え方
咲子の気持ちを感じ取ったのかどうかはわからないけど、先生はすぐに説明した。
「この神社へはね、癒されたいなと思ってきたんですよ。丹羽さんみたいにね、パワースポットのパワーをもらえたらいいなと」
先生は穏やかな表情で言うけど、心なしか寂しげな目をしている。
先生は仕事で疲れているのだろうか? 勤務医の仕事はハードワークだと聞いている。
「そうだったんですか」
「丹羽さん。今、時間ありますか」
ふいに先生がたずねる。
「え? 時間ですか。今日は特にすることもないから暇ですが……」
「じゃあ、僕にちょっと付き合ってくれませんか」
「え? 先生にですか」
「はい。あなたさえ良ければ」
先生があの柔和な笑みを浮かべてうなずく。
久しぶりに偶然の再会をはたしたと思ったら、何やら思いもよらない展開になった。