叶わぬ恋の叶え方
「どうしたいもなにも、彼女はああ言ってるし、もうどうすることもできませんよ」
「先生。こういう時は自分の心に正直になってください。あなたがもう一度やり直したいのなら、諦めずに話を続けるべきです」
想い人の復縁を促すなんて我ながら人が好いと咲子は思った。
「そうですねえ……。正直、まだ気持ちの整理がついていません。吹っ切れていないんですよ。僕にはまだああだこうだと考える時間が必要なのかもしれません」
「そうでしょうね」
彼は離婚の余韻から抜け出していない状態にあるというわけか。まだ別れてから4ヶ月しか経っていないのだから無理もない。
咲子はカフェラテの最後の一口をすすった。
「今日は僕の話に付き合わせてしまってすみません」
「いえ」
眼鏡の奥にある彼の優しい瞳が、真剣な眼差しに変わる。
「丹羽さん。また今度も会って話をしてもらえませんか」