林檎が月をかじった夜に
りんごが月をかじった夜に
ふしぎな夜
ある夜のことです。
ママが部屋の明かりを消したあとも、エンはしばらく、ベッドの中で目を開けていました。
(こんなことなら、ちゃんとお部屋を片付けておけば良かったわ)
夜の部屋はどこか不気味です。
あちこちの物陰に、何か怖いものが隠れているなんて考えると、エンは落ち着かない気持ちになります。
不幸なことに、その夜は、パパから「ホブヤー妖精」の物語を聞いたあとでした。
(眠らない子供を大勢で、しかも歌いながら食べてしまうなんて。ううん、なんて恐ろしいの)
そう思い出して、ますます眠れなくなるのです。
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