林檎が月をかじった夜に

悲し涙の月





 しばらくすると、一筋の絹糸のようなすすり泣きが聞こえてきました。


「月が近いぞ」


モヘが言います。


「ワタシはいないわ」


何かが答えました。すすり泣きと同じ声です。



 やがて、青白い月が姿を現しました。
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