林檎が月をかじった夜に




 モヘはさすがに勇敢です。



やわらかくエンを抱きしめる一方で、ホブヤー妖精をにらみつけています。


ひげをピンと前に張り、目はらんらんと輝いています。


巨人にも、ドラゴンにさえ、負けない力強さです。




「追い風をつかまえたぞ!」




モヘが叫ぶと、小船がぐんと速くなりました。

勇ましく、ホブヤー妖精の船に向かっていきます。






 ホブヤー妖精たちは大喜び。


「その調子、その調子!

楽しいことは、早く来い!」



エンはますます震えます。


「怖いわ、怖いわ。食べられてしまうわ」





 小船はどんどん進みます。





どんどん、どんどん進んで……
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