林檎が月をかじった夜に
空の帰り道
そのときです。
エンの体が、どんどん重たくなっていきます。あまりにも重たくなったので、エンは、船ぞこに沈んでしまいそうになりました。
モヘがエンの手を握って、引っ張り上げようとします。
「そら、こらえて。まだ行かないで。我慢するんだ」
リンゴがはげまします。
「お姉ちゃん、頑張れ、お姉ちゃん!」
けれど……
「きゃああああ!」
エンは、とうとう船ぞこを突き抜けてしまいました。
はるか下の海へ、真っ逆さまに落ちていきます。