林檎が月をかじった夜に
おわりの光
つぎに目を開けると、エンはベッドの上にいました。
パパとママが、心配そうに覗き込んできます。
「どうしたんだい、大きな声を出して」
と、パパ。
「こわい夢を見たの?」
と、ママ。
エンは飛び起きて答えます。
「いいえ、とてもすごいことをしたの。お月さまに会ったのよ。家の桟橋から、モヘ猫の傘に乗って……。それから、ホブヤー妖精とだって戦ったんだから」
まだ、さっきまでの冒険が体に染み付いています。
思い出すだけで、わくわくしてきました。そして、少しだけ寂しい気持ちになりました。
パパが笑います。
「ははは、すごい冒険をしてきたんだね。お月さまか、僕も会ってみたいよ」
「また会えるわよ!」
エンはベッドをおりて、窓辺へ走りました。