林檎が月をかじった夜に



 エンは、しぶしぶ、窓を閉めることにしました。




 もしかしたら、夢だったのかもしれません。


ずっと一緒だったモヘ猫も、やんちゃなリンゴも、恥ずかしがり屋の月も……。


あんなに生き生きとしていたものが、本当はどこにもいなかったと思うと、寂しくて涙がにじんできます。





 エンはカーテンを握って、空を見ました。涙をこぼさないためです。


うつむいたら、泣き出してしまいそうでした。
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