林檎が月をかじった夜に
ところが、様子がおかしいのです。どうやら月は泣いているようです。
(あんなにきれいなのに、どうして泣いているのかしら)
理由はすぐに分かりました。
なんと、真っ赤なリンゴが、ものすごい勢いで月に向かってくるではありませんか。
月は怖くて泣いていたのです。
大きなリンゴはゴロゴロと夜空を転がりながら、月をバクリとひとかじりして、どこかへ行ってしまいました。
(大変、お月さまが食べられちゃったわ!)
エンは慌ててベッドを抜け出しました。