林檎が月をかじった夜に
旅立ちの海
窓を開けると、そこには信じられない世界が広がっていました。
エンのいる部屋から、桟橋が出ています。
桟橋の下には虹色の海があって、チャプン、チャプンと鳴っています。
海は果てしなく続き、他には何もありません。
夢ではありません。
胸いっぱいに、潮の香りを吸い込むことだってできるのです。
(これはきっと、あの欲張りなリンゴを捕まえろってことだわ)
エンは決心して、桟橋に足を降ろしました。