林檎が月をかじった夜に

こうもり船






 モヘ猫が、逆さに開いたこうもり傘を海に落とせば、立派な小船の出来上がりです。



小船は二人を乗せて出港すると、優雅に海を走りました。




 気持ち良く小船が揺れるので、エンは眠ってしまいそうです。


「ねえ、何かおもしろいお話は無いかしら」

「そうだな、僕が旅をする理由なんかを知りたくないかい?」

「すてき。聞かせてくれる?」





 モヘは「もちろん」と立ち上がり、楽器のように話しはじめました。
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