俺様天使と小悪魔ちゃん
翔くんはそれ以上何も言わなかった。
きっと彼なりに、自分がこうしてそばにいても愛羅ちゃんには声も届かず、何もしてあげられないことがわかっているんだと思う。
こんな幼い子が、自分の思いをぐっと我慢して黙っているんだと思うと、不覚にも目の奥が熱くなってきてしまった。
いけないいけない、仕事中なのに……。
私にできることって、こうしてただ見てるだけしかないのかな。
なんだか自分が情けなくなってきて、イサヤの方を振り返った。
イサヤはずっと真剣な顔で翔くんの魂を見守っていて、そのあいだ、翔くんはもちろん、私とも一切話そうとしなかった。
全神経を翔くんの魂に集中させているって感じだったから、闇雲に声をかけるわけにもいかなくて。
私はただ、その端正な横顔をそっと眺めたり、翔くんの魂の行方を見守っているだけで時間が過ぎていた。
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そのイサヤが最初に声をかけて以来、数日ぶりに翔くんの魂に静かに声をかけた。