俺様天使と小悪魔ちゃん



「翔くん。
 幼稚園のバスが来る場所までは、
 信号があるところを
 渡らなくちゃいけないから、
 絶対に1人で行かないでね」

「え〜、ボク、しんごうがあっても
 だいじょうぶだよ。

 あかはとまれ、きいろもとまれ。
 わたっていいのは
 あおのときだけでしょ?」

「そうだけど…それでも。ね?」

「だって、ボクがひとりでいけば、
 ママはおうちで愛羅といれるでしょ?
 愛羅、きのうのよるもすごく
 くるしそうだったし…。
 ママがおうちにいないあいだに、
 またくるしくなったらこまるとおもって」

「翔は優しいのね」


親子は仲良く手をつないで歩いて行く。家の方を振り向いてみると、2階の窓から、心配そうな顔をした女の子が2人の姿を見つめている。年は同じくらいだ。

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