チェンジ type R
 情報を知れば知るほど、強烈な劣等感が沸いてくるのは何故だろう?

 そうそう、生徒手帳に住所も書かれていた。
 川東市希望が丘3丁目。
 これには少し安心した。
 というのも、川東市といえば私が住んでいるのと同じ市内だ。
 私は川東市の『光が丘』というところに住んでいる。
 『希望が丘』とは電車で一駅の場所だ。

 どちらも電車の同じ沿線にあるベッドタウン。

 自分の元の身体を探しに行くのに遠方まで行かないといけないという苦労はこれで無くなった。

 ただ、『隼人くん』が持っている定期券。
 これは使えそうもない。
 私の住む光が丘と隼人くんが通う緑ヶ丘高校は電車で逆方向だ。
 申し訳ないけど……財布の中のお金を少し借りるしかないだろう。

 ここまでを一気に確認し、もう一度部屋の中を見回した。
 これから自分の身体を探しに外出しないといけない。
 そうすると必要になること――それは着替えだ。

――それが一苦労になるなんてねぇ……。
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