チェンジ type R
(誰……か)

 隼人くんの返答は歯切れの悪いモノだった。
 何というか、こう、奥歯にモノの挟まったというか。
 誰でも構わないという風でもなく、かと言って誰かを追求しようという語気でもなく。何となく、グレーな感じ。

 このメールの主の正体、それは気になるけど、積極的には知りたくはない。
 そんな複雑なイメージを受けるような答え方だった。

 今さらこの隼人くんを『幻覚ではないか』、などとと疑う気はない。
 すでにその疑惑は解消している。
 私が知りえない情報を持っているという時点で、これは本物の隼人くんだ。
 だからこそ、この『メールを送ってきた隼人くん』が何者かを知る必要があるのだから。

 しかし、隼人くんのこの反応は……おかしい。
 誰かという部分を……まるで、追求して欲しくはない、というように感じる。
 もっと穿って考えるならば、このメールの主の正体を隠したがっているようにさえ思えてくる。

――仕方ない。

 私の方からカマをかけてみて、その上で判断しないといけない。
 何せ、バスが到着するくらいまでには次のメールは送っておきたい。
 相手の正体を探り、出来れば家から呼び出すメールくらいまでは済ませたい。

 隼人くんを幻覚と疑い、真偽を確かめるために時間を費やしてしまった私が言えたようなセリフではないかもしれないが……あまり時間はかけていられないのだ。

――この『隼人』って人が何者なのか、メールで探ってみようか?
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