チェンジ type R
――どんな些細な情報でも、相手から引き出した方が良いんじゃない?

 隼人くんが引きとめようとしている様子に、気付かないフリをして返事をする。
 素直に『何か隠してるの?』なんて質問をしたところで、この頑固な隼人くんがアッサリと白状するとは思えない。
 知り合ってから、まだ時間は短いものの、この幽霊の性格は何となく掴めてきた。

 ワザとであろうとなかろうと、こちらがまどろっこしい行動を取れば、隼人くんはきっと――。

(いや! 違う! ちょっと待て! 理由を話すから!)

 ……と、いった具合だ。慌てて自分からアッサリと口を割る。
 本当に分かりやすい幽霊だ。
 私が勘付いた通りに、何かを思いついていたらしい。
 しかし、何故それをすぐに話さず、かつメールを送ることまで躊躇しているのだろうか?
 さっさと理由を話してもらわないと。あまり時間をかけるべきでは無いような状況なのだから。

 隼人くんの返答を待つ、その間にも言外に隼人くんを急かすために片手で携帯をいじろうとする仕草を欠かさない。
 こちらから急かしてあげないと、なかなか口を割ろうとしないのはいけないクセだ。
 私のそんな仕草を気にしながら、隼人くんが躊躇いがちに口を開く――。

(その……ソイツも俺なんじゃないか?)

 うん?どういう意味ですか?
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