チェンジ type R
 お父さんの作品ではあるが、登場人物の名前があまりに家族に酷似しているため最後まで読んでさえいないことを隼人くんに話す。
 隼人くんは「マジかよ!?」と言いながら少し呆れたような表情に……。

 だって仕方ないじゃん。
 身内が書いたものだと思うと、少しでも読みにくいと思ったら読むのを止めてしまうものなのだ。
 正直にそのことを話す。

(そんなものかね……。じゃあ、ちょっと粗筋を言っておくぞ――)

 あまり時間も無いということで。かい摘んで小説のあらすじを教えてもらった。

 なるほど……『ちぇんじ』の中でも入れ替わった人が二つの人格に分かれてたのね。
 マリという女の子がある日、いきなり男の子の身体の中に入ってしまった。
 その身体の持ち主が『隼人』。

 しかし、隼人はマリの身体の中には入っておらず、マリの身体の中には元のままの人格、真里が入っていた。
 真里の中にある魂の半分だけがマリとなって隼人の身体の中に入ってしまい、マリの魂が元の身体に戻れるための方法を探る。

 ここまでが隼人くんに教えてもらった『ちぇんじ』のあらすじだ。
 確かに……聞けば聞くほど現在の私たちの状況に似ている。
 違いといえば、入れ替わった私の身体に隼人くんが入っているという点。
 マリと真里が元は同じ人物なのに二人として存在するように。
 
――隼人くんも……ハヤトと隼人に分かれている……と考えればいいのだろうか。

 私の言葉にハヤトくんが頷く。
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