チェンジ type R
 なぜ、お話と似たような状況が発生しているのか分からないけど。
 そう考えれば、ここに居るハヤトくんとメール相手の隼人くんの二人が存在することも納得できる。
 まあ、入れ替わりというのも非常識な話なわけで……そのついでにもう一つ非常識な出来事が起こっている、と考えれば良いだろう。

 隼人くんの身体には私が入っていて、私の身体には隼人くんが入っている。
 そして、押し出されるようにしてハヤトくんが幽霊として私の傍に居る……というワケだ。
 でも、だとすると……どうしてメール相手の正体を探ることを嫌がったのだろうか?
 別に嫌がるような理由が存在していないと思うんだけど。
 本人に問いただすべきか――。

――何で、メールを送るのを嫌がるの?

(嫌というわけじゃないんだけど……)

 ここに至って、ハヤトくんは未だに歯切れが悪い。
 何が彼をここまで躊躇わせているのだろうか?
 一刻も早く、元に戻ってしまいたいのはハヤトくんだって同じはず。

 ハヤトくんが二人の人格に分かれてて、私が隼人くんの身体に入ってて。
 隼人くんは私の身体に入ってしまっている。

 だったら、隼人くんに事情を説明して、元の身体に戻る方法を探せば済む話じゃない?
 その手順を踏むだけなのに、なぜそんなに躊躇しないといけないのだろうか?
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