チェンジ type R
――メールの相手も隼人くんってことだよね? だったら正体を確認して話を進めれば早くない?

 このままでは話が前に進まない。
 多少、強引かもしれないがメールを送ることを前提に話を進める。
 元に戻る方法に近づいているはずなのに、どうしてハヤトくんは話を進展させようとしないのか?
 微妙に気になるところではあるが、いつまでも同じ所で立ち止まってしまうというのも良い気分ではない。

(う、うん。じゃあ、とりあえずメール相手の確認だけでも……)

 反対はしないが、それでもノリ気には見えないハヤトくん。
 何がそこまで彼を引き止めてしまっているのだろう?

 追求してみたいが、それも時間がもったいない。
 こうしている間にも、バスは目的地にむかって順調に進んでいる。
 恐らく、あと十分もすれば目的地のバス停に到着してしまうだろう。

 できれば……それまでにはメール相手の隼人くんを確認してしまいたい。
 相手の正体を探るべく……メールを作成する。

宛先:maria-17@xxmoweb.ne.jp
題名:Re:真里愛です
本文:落ち着いて話を聞いてください。
    私たちはどうやら身体が入れ替わってしまっているみたいです。
    できれば、貴方のことを詳しく教えてください。
    元に戻るヒントがあるかもしれません。

 傍に居るハヤトくんのことは、今は伏せておく。
 これで隼人くんらしき言動を取ってくるようならば、メールの相手も隼人くんで確定だ。
 そうなれば、後は隼人くんを呼び出して、元に戻る方法を探せば良い。

 ハヤトくんから聞いた『ちぇんじ』のあらすじ。
 それを聞く限りは私たちの状況にソックリだ。
 ならば……元に戻るヒントもその小説にあるかもしれない。
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