チェンジ type R
 お父さんのことを思い出して、そういえば隼人くんの名前とお父さんの名前は同じだな……と、今さらながらに気が付いた。

 人の名前なんて、しかも下の名前なんてものは同じなんてことはよくある話だから、こんな『他人と身体が入れ替わる』なんて超常現象を体験している現在では名前のことなんて珍しくも何とも感じないわけで。

 先ほど隼人くんに言われたように、この地方では私の苗字は珍しいようで。
 私を含めて、家族の同姓同名さんに会ったことは無い。
 私だって、名前の響きが一番似ているのは自分のお母さんかな、といった感じだし。
 なので、同姓さんは居なくても同名さんが珍しい、ということはあまり無い気がする。

 それでも、『名前が同じ』これはちょっとした話の接ぎ穂になるかな、なんて。
 少しでもお互いの情報を共有すれば、元に戻る方法を探るときに役に立つかもしれないし。
 なので話題として振ってみる。

――あのね、私のお父さんの名前も『隼人』なんだよ。

(え? そうなの!?)

 んん?
 何だか思いのほか食いついてきた。
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