チェンジ type R
――隼人くん!

 心の中で、ちょっと強い口調で呼びかける。
 このままだと電車が駅に着くまで、ずっとお父さんの話を続けてしまわれそうだし。
そうなってしまうと本当に話が全然進展しない。

 これだけの異常事態に直面しているというのに、全くもって話が進展しないというのは非常に精神衛生上悪い。
 ぶっちゃけて言えばイライラする。

(ん? 何だ?)

 私の強い口調に、キョトンとした表情で隼人くんが答えてくる。
 まるで『一体どうしたんだ?』と言いたげな様子。

 この人……自分が幽霊になっていることを忘れているんじゃないだろうか?

 この天然ボケが入った感じ……本当にお父さんを思い起こさせる。
 お父さんもたまに想像を超えた行動を取る。
 普段は冷静な人だから、あまり常識外れなことはしないんだけど。
 ひょんなことで可笑しな一面を見せたりする。

 まあ、そういう部分が可愛いと言えなくもないんだけど……。

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