チェンジ type R
――これ……誰なんだろうね?

 隼人くんは……幽霊なのに壁にもたれかかるような姿勢をしてみせた。
 小さく「ふうっ」と息を一つ吐き出した後、私の質問に対する答えを返す。

(誰か……は分からないけどな。これで少しはやりやすくなったんじゃないか?)

 「やりやすく」、この言葉の意図が掴めず、表情で隼人くんに対して疑問を述べてみる。
 何が……やりやすくなったのか?
 むしろ、相手が誰か分からないということで……これから先の行動が取りにくくなってしまったのではないかという印象を私は受けているのだけど……。

 私のそんな様子を見て、隼人くんは「どうしようもない奴だ」とでも言いたげな表情で、先ほどの自分の言葉を補足してみせた。
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