チェンジ type R
 出来れば……隼人くんと相談しながら見れるようになるまでは到着して欲しくなかったメール。
 でも、そんな事は言っていられない。
 返信のメールが来てしまったからには――開くべきだよね?

 一人でこのメールを見て、その内容が予想外なものだったら……。
 きっと私は再び混乱してしまうだろう。
 どうすれば良いかが分からず、あっさりとパニックに陥っていまいそうだ。
 それ位に、現在の私は自分でも不思議なほどに情緒不安定になっている。

 しかし、実際にはそんなことを迷う時間が惜しいほどに……事態は切迫している。

 一人で見る訳ではないのだ。
 今は姿を確認することは出来ないけど、きっと隼人くんは隣に居る。
 そして、このメールを開けば隣から覗き見ているはず……なのだから。

 果たして、私の中に入ってしまっているのは……誰なのか?
 きっと、その答えがこのメールの中にある。
 その答えは、果たして私の知る人物なのか。それとも、まるっきり関係の無い第三者なのか。

 答えがどうであろうと、この先にある苦労というものは大きくは変わらないのだろうけど……それでも胸の奥を箍で締め付けるような緊張感が私を覆う。

 たかが『メールを開く』、それだけの行為を実行に移すまでに……ここまでの不安が襲ってくるとは。
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