チェンジ type R
 ついさっきまではどんなメールが来たとしても、隼人くんが隣に居て、安心感の中で落ち着いてメールを見ることが出来ていた。
 万が一でも私が何かの拍子で混乱してしまっても――隼人くんが何とかしてくれる。
 そんな風に頼りにしている隼人くんの不在。目に見えていない、声が聞こえないというだけで……それは私に自分が考えている以上の不安感を植え付けていた。

 もし、このメールを開いて出る答え、メールを返信してきた人物が……私を混乱に突き落とすようなものであったら。
 隼人くんの姿が見えない、声も聞こえないような状況で、果たして私は平静を保っていることが出来るのだろうか?
 不安と緊張、喉が異常なほどに渇く感覚がある。なのに、背中からは汗が滲んでいるのが分かる。

 一人きりというだけで、たったそれだけの事で……心と身体は自分のものではないのではないかという程に不安を感じ、混乱してしまいそうになっている。
 隼人くんが見えない、たったそれだけのことのはずが――。
 私の中に在った、身体が入れ替わっているという奇妙な状況に於いてなおも『何とかなるさ』という、不思議なまでの楽観さを霧散させてしまっていた。

 携帯を持つ手が……カタカタと震えてしまっているのが自分でも分かった。

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