チェンジ type R
 こうして気持ちが強く持てているうちに――。

 そう思った私は、まだ心配そうな顔して私を見ている隼人くんに携帯をツッと差し出した。
 ディスプレイには、先ほどのメールを表示してある。
 私が送って……隼人と名乗る人から来た返信メール。

 隼人くんは「ん?」と呟きながら、携帯のディスプレイを覗き込む。

(これか……誰なんだろうな?)

 隼人くんが率直に自分の思いを返してくる。
 やはり、隼人くんにも理解できないような出来事のようだ。

 私が知っている『隼人』は少なくとも二人だけ。
 私のお父さんと、私の隣に居る隼人くんだ。

 私と隼人くんが『入れ替わって』いると考えれば、このメールを送ってきた隼人くんは……この身体の持ち主の隼人くんと考えるのが妥当だろう。
 いくら名前が同じだからといって、私のお父さんが私の名前が入ったメールに『誰だ?』と返信してくるとは考えにくい。
 娘の携帯を使っていて、娘の名前でメールが来てるのに、それが誰からのメールか分からないということはまず在り得ないだろう。

 お父さんではない『隼人くん』。それは、この身体の持ち主である隼人くんということで十中八九は間違いないだろう。
 それ以外の第三者が関わっているというのは……在り得ないとまでは言わないが考えにくい。

 でも、そうだとすれば……ここに居る隼人くんは何者だ?ということになる。
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