チェンジ type R
 この疑問がもし正しければ……きっと隼人くんは私の目の前から消えてしまう。
 現在の私の心の内にあるのは、『隼人くんが本物であって欲しい』という気持ちが七割。『幻覚が早く消えて欲しい』という気持ちが三割だ。

(幻覚? 何だよ、さっきから『幻覚』だの、『本物』だのと!)

 私の疑問を聞いて、隼人くんの反応は『怒っているような』から明らかに『怒っている』に変化した。
 私の予想でも、この質問をぶつければ隼人くんは怒り出すだろうと――やっぱり、隼人くんは私が生み出した幻覚なのか?
 だったら、隼人くんはこのまま……消えてしまう?

 悲しいような、惜しいような……。
 それでも通過しなければならない感情なのだ。
 そうでなければ、私は先へと進めない。

(『やっぱり』とか何を言ってるんだ? お前に生んでもらった覚えもねーよ!)

 隼人くんの怒りは最高潮のようだ。
 現実には存在しない人のはずなのに、顔が真っ赤になっている。
 こんな非常識な状態で、常識的にというのは間違っているとは分かっている。
 でも、常識で考えれば霊の顔が赤くなるなんて……ありえない!

 大体、血が通う肉体を持たないから幽霊でしょ?
 なのに、何で顔が赤くなるのよ?この隼人くんが幻覚だという材料が揃いすぎている。
 私の予想通りの反応をすることといい、あからさまにおかしい!

――だって、メールの相手も隼人くんじゃない!だったら何でここに隼人くんが居るのよ!
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