チェンジ type R
 隼人くんは押し黙ったままジッと身じろぎ一つしないんだけど、一向に消えそうな気配も無い。
 幽霊だから、姿は薄いままで元々気配だけの存在なんだけどさ。
 相変わらずの濃度を保ったまま、私の目の前に存在し続けている。

 意外としぶとい、というべきなのかな?
 様子がおかしいな?私の予想だと……このまま消えるはずだったんだけど。
 スゥーっと消えてしまって、私は決意を新たに元に戻る方法を一人で探すことになるっていうのが筋書きなんじゃ……?

 まさか、ここまで消えるまでの行動を引っ張ってくるとは、少々予想外だ。
 ここは、綺麗にストーリーを進展させるためにも、ビシっと一言。

――だからね、アナタは私の生み出した幻覚で。メールの相手が本物の隼人くんでしょ?

 ダメ押しをしてみる。
 みなまで言うべきじゃないか、とも思ったが。
 そこまで言わないと消えてくれないなら言わざるを得ない。

 そりゃあさ、隼人くんが消えないでいてくれれば嬉しいんだけど。
 それでは私に進歩が無い。お話がいつまで経っても進まない。
 幻覚に頼っているようでは元の身体に戻ることがおぼつかな……って、隼人くんがやっと口を開いた!

(――だから、どうした! 俺は本物の隼人だ!! 幻覚じゃねえっ!)

 って、おいっ!!
 この期に及んで本物ってことを主張かよ!?
 本当にしぶとくないかい?
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