チェンジ type R
――それでも! どうしてメールの名前が『隼人』って名乗るのよ!?

 とりあえずダメ押しだ。ダメ押しというかこの事実があるからこその疑惑なわけで。
 メールという動かぬ証拠がある限り、この隼人くんが本物だとは言い難い。
 さすがに私の身体を使っていて、隼人と名乗る人物がいるのだ。
 そっちが本物だと考えるのが妥当なところだろう。
 この目の前にいる隼人くんが本物であれば良かった、という思いはあるものの……こればかり譲れないところだ。

(うっ……!)

 私の指摘に唸り声を上げる幻覚の隼人くん。
 ほら、もうそろそろ観念して欲しいものだ。
 どうしてこんなに消えるのを嫌がるのだろうか?

 ここで幻覚と押し問答をやったところで、事態は何も進展しないのだから。
 こんなやり取りは早く切り上げて、これからの事を考えたいのだ。

 私の中に入っているのが隼人くん本人ならば、これからどうやって隼人くんを呼び出して対面を果たすのか。
 呼び出すとして、自分でもよく理解できないこの状態をどうやって隼人くんに説明したものか。そして、それらのことを隼人くんが信じてくれるのか。

 互いに現状に納得がいったとして……どうやって元に戻ったものか。

 問題は山積み――幻覚に関わっているヒマは無い。
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