チェンジ type R
――隼人くんってさ、私のお父さんのファンなんだよね?

 とりあえず、もう一度改めて前提から確認してみる。
 何せお父さんの名前を聞くだけでテンションが上がるような人という設定だ。
 ここで否定するはずもないけど。念のためというやつだ。

(――ん? それがどうかしたか?)

 幻覚のクセに、まだ怒っているのか。
 かなりぶっきらぼうな調子で答える。怒っているというより、幻覚のくせに逆ギレだ。本当ならば怒りたいのは、幻覚と説得してあげたのになかなか消えてもらえない私の方だ。
 何とも生意気な幻覚だ。なぜ幻覚を相手に、気を遣わないといけないのかと腹が立ってくる。

 しかし、ちょっとムカつくけど、とりあえず質問を続ける。
 幻覚のやることをイチイチ気に掛けていたら話が進まない。
 次の質問が答えられなければ、アナタは偽者確定なんだから早く消えるのよ?

――教えて欲しいことがあるんだけどさ、お父さんの『入れ替わりモノ』小説ってあったよね?

(うん? 確かにあったな)

 『入れ替わりモノ』小説の存在を知っているのは当然。
 そこまでは私も覚えているのだから。

 ここからが問題だ、その作品のタイトル。私が覚えていないことを……この幻覚の隼人くんは答えられるのか!?
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