チェンジ type R
――じゃあさ、その作品のタイトルは?

 さあ!偽者じゃないと言い張るのならば早く答えてみなさい!
 言えないというならば、早く私の前から姿を消して!
 ……でなければ私は前へ進めない。

 固唾を呑んで、隼人くんの様子を見守る。
 私が知らない情報なのだ、答えられなくて当たり前。
 そして、その決定的な証拠を突き付けられれば……犯人……じゃなかった、幻覚の隼人くんは消えてしまわざるを得なくなるだろう。

 再び、しばしの沈黙が訪れる……と思ったのだが。

(『ちぇんじ』だろ?)

――……え!?

 間髪いれずに即答してきたよ?サラっと。
 何でタイトルが出てくるんだ……?私はタイトルを完全に忘れてたのに。

 しかも、この作戦に決定的な欠点を発見してしまった。
 よく考えると、私が答えを知らないんだから正解かどうかも分からないじゃないか!

 うーん……なんか、そんなタイトルだったような気もする。
 いや、どうだったかな?思い出せない。
 でも、私が思い出せないのに……幻覚の隼人くんが答えるって……?
 いや、でっちあげのタイトルを言っただけかもしれない、それっぽいタイトルを無意識に考えて…それを幻覚の隼人くんが口にして。

 でも、そんなタイトルだったような……?どっちだ!?
< 98 / 113 >

この作品をシェア

pagetop