中谷君、それはギャグですか?





「………中谷君、今日はもう遅いから泊まっていきなよ」



私にすれば、優しくそう切り出したはずだ。
なのに、中谷君は。



「最初は、まるで勝負!みたいな感じだったのが……どこいったんでしょうね」


「元はと言えば、君が」


「藤さん」



攻めようとした結果、攻められてしまう。
そのワードだけでも、私にとっては苦々しいものだから。

心の中で思わず舌打ちしたくなった。



「タチが悪い」



そう吐き捨てるように睨んで言ってみたが、意外にも中谷君はキョトン、とした顔をして。



「そんなことないですよ?藤川さん」



どこが?
そう、本心から言われたので、こっちが複雑な気分になる。



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