Favorite voice
-楓side-
どれくらい泣いただろうか
俺らしくないな、
人の前でこんな声あげて泣くなんて
絡まっていた糸を
いとも簡単に女神は解いてくれた
俺の中で溜まっていたものが
全て溢れ出した気がした
何故こんなにも
俺の心の中に簡単に入って来れるんだ?
ポッカリと空いていたものが
女神のたった一言で
綺麗に満たされた
女神に言われた通りだ、
俺は大切な人を失う事が怖くて
恋愛をするのを避けていた
寂しい気持ちは常にあった
俺はこの時に
もう女神を本気で好きになったと思う
「なぁ……? 」
「んー?どうしたのー? 」
心配そうに
顔を覗き込んでくる
「絶対離れへん?約束してくれる? 」
「大丈夫、絶対離れない
離れたいって言われたとしても離さないって約束する 」
「なぁ、楓って呼んで 」
「ん?楓……? 」
「憂、好きやで 」
恥ずかしいのか
顔を真っ赤にしてそっぽを向かれてしまった
「こっち見て、もっかい
俺の名前呼んで、好きって言って 」
「楓…好き……だよ 」
俺は今度こそ
絶対に大切にしてみせる
もう同じ過ちは繰り返さない
絶対にこいつは離さない