Favorite voice
「由紀ー! 」
っと階段の下から呼んでみると
「はーいっ!上あがってきてー! 」っと大きな返事が返ってきた
階段の下に靴を脱ぎかかとを指先で引っ掛けて揃えてから
上にあがった
階段を登り終えるとすぐ左手に扉があり
そこが由紀の部屋だ
ーガチャッ
「憂ー!いらっしゃーい! 」
由紀はクーラーの下で涼みながら私を笑顔で迎えた
由紀とは同じ中学で同じ部活という事もあり
凄く仲のいい友達だ
目がくっきりしていてとても綺麗な顔立ち
そして友達思いな優しい子だ
部屋の座椅子に鞄を置いて
携帯を取り出しネットを開く
由紀といつものように他愛もない会話で
盛り上がっていた
それからしばらく経った時
「ねぇねぇ! このアプリ知ってる? 」
そう言いながら由紀は自分の携帯を私に差し出してきた
「ん?なにこれ? 」
由紀の携帯を見ると女の子がメイクをしている動画だった
下の方を見ると色んな人達がコメントをしていて
首を傾げた私を見て
「すごいよね!このアプリを使うと動画を配信したりラジオを配信したりとか出来るんだよ!憂もこのアプリやりなよー! 」
そう言って目を輝かせながら私にオススメしてきたそのアプリ
そのアプリこそが私が楓を知るきっかけとなる