Favorite voice


-楓side-




なんだかんだ
全て任せっきりやなぁ










リードされっぱなし…というか




その方が助かるけど










前に遊んで帰る時に
寂しかったのは確かだけど








またこんな風にこいつと遊べるとはな









俺の目の前にいるこいつは
目尻を下げて笑ながら
くだらない話をしてるこいつは










多分……多少なり俺に気がある











と思う。


勘というか、それとなく
感じる


俺も1ミリも気がないわけじゃないから
悪い気はしない



でも俺は……













昔に3年ほど……
いや3年経つ前か

交際をしていた人が居た



お互いに束縛をしあって
きっともう信頼もくそもなかった


でも好きだった





だけど、浮気されて
俺は捨てられた





でも当時の俺はあいつの事を
玩具としてしか見ていなかったかもしれない




大切にしているつもりだったのに
気付いた時にはもう
遅かった







それから色んな女と関わりを持ったが
特別身体の関係を持ったりする女は居なかった





いざ、となると
やっぱり違う気がして
出来なかった




最低なやつやな
って思いながらも
空っぽの心を埋めてくれる人は居なかった




俺に歩み寄ってくれる人さえも
何故か嫌ではないけど
拒んでしまう





気付いたら独りになってて







寂しくて、寂しくて
誰かに見ていて欲しくて





他人への壁が厚く
とくに弱音なんて吐けるとこもなかった









でも…こいつは
そんなのお構いなしに
土足で俺の心に入りこんできて


壁なんてメチャメチャにされて
気がつけば、なぜか一緒に居ると
落ち着く


拒んでも拒んでも
真っ直ぐに俺を見てくれる

















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