Favorite voice



店を出てから20分が経とうとしていた頃














「多田ーっ!!!!ありえん!なんで!? 」



そう私は空に向かって
大声で叫んでみる





そう、現在大雨と強風に打たれながら
ホテルに向かってます







「知らんわいな!お前雨女ちゃう? 」




「はぁー!? 多田が雨男なんでしょっ! 」



「ちゃうわー、なんなん! いつも女神と会うとき雨なんやけど!? 」



「いつもって…まだ2回目ですーっ! 」



「とりあえず、傘買おうや 」


「賛成ーっ!! 」






近くのコンビニに寄り
傘を買ったはいいけど……











ーーバキッ






傘を買って5分も経たずに壊れたの
わたくし人生初めてです









「……あっはははははは!! 」


「壊れるのはやすぎやろ! 」



「っうひひひひ! 傘壊れるのはやっ!あはっ! 」




多分今年初めて
こんなお腹の底から笑ったと思う









「いや、笑い事ちゃうし! あっかんわぁ…タクシー拾おうや! 」



……クスクス


笑い止まらないっ!!
綺麗に裏返った傘は折りたたんだけど



チラチラ見ては笑うの繰り返し



さすがの多田も呆れ気味







運良く目の前を信号待ちでとまってる
空車のタクシーが居たし


手をあげて
そくささと乗り込む









「ホテル街までお願いしますっ! 」




そう言って
ようやくと言わんばかりに
気が抜けて一息ついた









「ほんまやばいなぁ…強風警報出てるわぁ 」


「えっ!やばっ! 」










タクシーの窓の外を眺めて
ボーッとしていたら



気づけばホテル街へ到着していた








「ほら、行くで 」



「あ、行こか 」




慣れない土地だし
一日中歩き回ったりで


身体の疲労も溜まって
うとうと気味になってると




多田が手を引いて歩き出した










「ありがと… 」



恥ずかしくて視線を逸らした








「あぁ、気い付けや 危ないから 」

「うん 」






目的地はもう携帯のナビで確認は
したから
すぐに到着することができた

















< 86 / 104 >

この作品をシェア

pagetop