Favorite voice
ーヴーーッ ヴーーッ
んー?
うるさい……
「もぉっ!うるさぁいっ! 」
自分の携帯のアラームが鳴っているのは
分かってるんだけど
多田が絡まりついていて
身体を自由に動かせない…
手を出来る限り伸ばして
ベットの下へ手をのばす
んー…あとすこし……
「とれたーっ! 」
携帯の画面を見ると…
ー10:26
「わっわっ!多田っ大変だぁ! 」
そういって私の身体に絡まりついている
多田の背中を空いてる手で
バシバシと叩いた
「ねむいー なんなん? 」
「なんなんじゃない!
時間!11時にチェックアウトだよ! 」
「あー… もうそんな時間かぁ
ん、起きるかぁ… ふぁぁ…」
多田は眠そうに目をこすりながら
歯磨きをしに洗面台に向かっていった
寝起きはまだぼーっとしてて
なんとも思わなかったんだけど
よく考えれば……
私昨日なにしてたっけ?
あれ…これは……
マズイ…思い出せない
確か呑みすぎて…
多田に運んでもらって…
から思い出せない…
「多田ー! 」
「なんやねん 」
「昨日私なにしとった? 」
「覚えてないんかい 」
「うん 」
「俺に好き好き言うてたで 」
そう悪魔みたいに微笑む多田が
言っている事は真実なんだろうか
いや全力で信じたくない
「またまた〜もう冗談キツイわぁっ 」
そう笑って多田をチラ見したが
「いやいや、ほんまやで? 」
「えっ…多田はなんて言ったの? 」
「いや、俺も好きやでって言ったんやけど? 」
いや…いやいやいや……
信じられなさすぎる
多田が?
多田が私を好き?
なんてブラックジョークだ
地球がひっくり返ってもありえない話だ
多田が洗面台から
私の方へ向かって来た
「嘘じゃないで? ほんまやで? 」
「ちょっと、こっち見ないで
恥ずかしくて死にそう 」
「なんやそれ、こっち向けや 」
そう言って思いっきり
顎を掴まれて多田の方へ向けられた
「ぶっさいくやなぁ
はよ顔洗ってき 」
そう言って多田はニヤニヤしながら
自分の荷物を片付けはじめた
むーっ…
くっそぉ…いじわる…
多田に言われた通り顔を洗いに
私はむすくれたまま洗面台へ向かった