Favorite voice


あーっ涼しい…
生き返る……

なんて事を思いながら私は
デパートの中のベンチで
多田の帰りを待っていた



多田はと言うと
デパートに着くなり
楽器屋に直行していきました


私は特別興味があるわけでもないから
疲れたし座って待ってる
と言って現状に至るわけでございます



あぁーっ
なんかすることないかなぁ…
ずっと座っているのも
だんだん退屈になってきた



多田の様子見でも行こうかな



私はベンチから立ち上がり
楽器屋へと向かった










楽器屋に着くなり
ウロウロ辺りを見回していると
すぐに見つけることができた



身長デカイし…


そんな事を思いながら
1人ニヤニヤしていると



多田がこっちに気づいたようで


「なに1人でニヤニヤしとんねん
きっしょ…… 」





見られてた……








「いやいや…多田って身長かなりあるから、見つけやすいなって… 」



「あぁ、せやなぁ
ええやろ?お前ちっさいもんな 」




「これでも伸びた方です 」


腰に手を当て
鼻をフンッと鳴らした






「……あほやな 」




多田は呆れたのか
私に向けていた視線を
ベースの弦へと向けた






むーっと頬を膨らませると





「どうしたん?そんなブッサイクな顔して 」



口元を釣り上げ
ニヤニヤしている多田は


悪魔みたいな顔です








「ふん、バカなすび 」




そう言い残して私はベンチに戻ることにした












< 94 / 104 >

この作品をシェア

pagetop