Favorite voice




「わからへん
なんやろなぁ…… 」




眉間にしわを寄せて
んー、と考えたあとすぐに






「お前みたいな見た目のやつ
正直俺は嫌いだし、苦手だし…… 」





グサッ…
ちょっと酷過ぎやしませんか多田さん






「 でも、俺に真っ直ぐに
全力でぶつかってきて
内面から知ろうとしてくれて、
それで好きって言ってくれて…優しくて可愛くて…… 「「ストップストップ!!! 」」




恥ずかしくて顔から火が出そう
急いで多田の口を手で塞いだ





ーモゴモゴ



多田はまだ何か言いたげだけど



「分かった!分かったよ!ありがとう! もう恥ずかしいからストップ!! 」






多田の口の動きが止まったのを確認して
私はそっと手をどかした












「なぁ、俺から離れないって自信ある? 」









そう真剣な顔で私を見つめてきた










多田ってこんな顔もするんだ、









ードキッ










「どうしてそんな事を聞くの? 」









「ええから答えて 」









不安を感じたのか
真剣な顔をしていた多田が
捨てられた子犬みたいな顔になった








この人は、きっと寂しいんだ










この時私はそう感じた











「おいで? 」








布団に寝転がったままの多田を
私の膝へと呼んだ








むくりと上半身を起こし
首を縦に振っている







……やけに素直だなぁ







正座に座り変えて
多田に膝枕をしながら
お話をしようと思う

















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