手にしたものは?〈短編〉
みんなで楽しく飲んで、今日は早めに解散。
一人暮らしの大樹さんとは私の実家から3分の距離。
家まで送ってもらう。
二人っきりなんてドキドキしっぱなし。
「大樹さん、聞いてもいいですか?」
「うん?何?」
振り向いた大樹さんの顔に、月明かりが当たって綺麗…
見つめられた瞳にまた吸い込まれそう。
「えっと、にゅ…入学式の時、こっち…門の方じっと見てましたよね?覚えてます?」
「あー、あの時華乃と目ぇ合ったな。」
覚えてたっ!
「何見てたんですか?」
「華乃。華乃の事見てた。こっち見ろって念じてた。」
「え?なっ何で?」
「可愛かったから?」
「大樹さん、から?って何で疑問系…」
「ははっ。華乃は?ずっと目そらさなかった。何で?」
ずるい。話はぐらかした上に直球。
こうゆう時、何て答えればいいの?