手にしたものは?〈短編〉
笑顔の大樹さんと一緒に写ってる女の人…
私?
違う。よく見たら別人。
髪の長さとか、ゆるくかかったパーマとか、ちょっとタレた目元と、薄い口元、服装までそっくり…
私は大樹さんに視線を戻す。
「大樹さん…」
「だから、大樹でいいって…」
大樹さんの手は私の頭からホッペ移って、やさしく微笑んだ。
「彼女に…似てたから?」
震える声を押さえてゆっくり聞いた
「え…?」
「私、似てるの?だから入学式の時…?」