手にしたものは?〈短編〉
とうとう俺は、華乃を傷付けてしまった―。
「大樹さん。おはようございますっ。」
あの日以来、華乃は普通に接してくれる。
その健気さが…また俺の心をぐっと掴む。
「健気さ」なんて、俺が全部悪いのに?
そんな事思える立場ぢゃねぇよな。
でも、
華乃は駆け寄ってくる事はない。
「華乃っ、今日空いてるか?ちょっと話…
「ゴメンナサイ。今日は…クラスのみんなと飲み会で。」
あの日まで、華乃は俺の誘いを断わった事がなかった。
自業自得だな。
だいたい、話って…何話すんだよ。
俺は彼女がいるけど君も大切だよ…って?
バカか俺…。